プロムナード

 目覚めに似た感覚がして彼は立ち止ると頭を振った。
 またぼんやりしていたのか。何だろう疲れているのかなあ。そんな風に自嘲して自分の耳の上あたりを軽く叩いてみる。ごつんと意外に良い音がして思わず眉を顰めた。
 展覧会の部屋と部屋を繋ぐプロムナードは薄暗い。
 彼はもう先に行ったのだろうか。前方に見える長方形に切り取られた部屋の入り口は随分と明るく見えた。あの光の中へもう進んでしまったのか。
 さあ行こう。きっと彼も自分を待っている。
 仄明るいそこを目指して彼は歩み出した。

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